里芋の煮っころがしは「故郷に帰ってきたな」と思えるような素朴な料理。
日本の家庭料理の中には「子供のころ毎日食べていたわけではないのに、何だか懐かしい」味のする料理がいくつかありますよね。
里芋の煮っころがしもそんな料理のひとつではないでしょうか。
実は福井、ご当地でしか採れない希少な里芋があります。
「上圧さといも」です。
里芋の産地ですから、煮っころがしなどの料理に思い入れがある人も少なくない様子。
産地だけにまさに「故郷の味だな」という感じですよね。
今回は里芋の中でも希少な「上圧さといも」をご紹介します。
上圧さといもとは?希少な芋は福井の自然が育む
上圧さといもは福井県大野市で栽培される里芋の一種です。
福井県内ではわりと普通に流通しているのですが、福井県内や近隣県以外では入手が難しく、首都圏などではブランド里芋として扱われています。特徴は肉質ならぬ芋質と歯ごたえ。
上圧さといもは大野市上圧地域で栽培されます。地域の名前がそのままついた里芋です。
この地域は周囲を1,000m級の山々に囲まれており、里芋栽培に適した土地になっています。
また、近くに九頭竜川や真名川など季節を問わず潤沢な水量を持つ河があるため「まさに里芋を育ててください」という立地になっているのです。
絶好の立地ですくすくと育てられた上圧さといもは品質管理や選別が徹底されており、出荷規格を満たしたものが店頭に並ぶ仕組みになっています。
福井の自然が育むブランド里芋であり全国的に見ると希少食材に分類されるのが「上圧さといも」です。
上圧さといもの歴史は平安時代から続く
上圧さといもの歴史は何と平安時代まで遡ります。
平安時代から里芋が育てられていた大野市ならびに近隣では、米の代わりに栽培した里芋を納めることもあったそうです。
もちろん、同地区の大切な食糧でもあったのでしょう。
その後も上圧さといもの栽培は続きましたが、日本の米政策がひとつの転機になりました。そう、減反です。
同地区ではお米も作っていますが、減反制度によりお米を作る量が減ってしまったのです。
代わりに里芋の栽培が盛んになり、里芋の中でも品質の良いものを選別し、現在のブランド里芋になりました。
里芋は全国各地で栽培されていますが、上圧さといもは優れた品質と福井の一部地域でしか栽培されていないことから、価格が通常の里芋の倍近いものになっています。
上圧さといもの特徴は肉質(芋質)と味
上圧さといもの特徴は芋質と味です。里芋は噛むと柔らかく、煮物に使うと煮崩れしやすい印象があるのではないでしょうか。
上圧さといもは芋質がしっかりしており、煮っころがしなどにしても煮崩れしないのが特徴です。
かといってカチカチに固いわけではなく、煮込めば非常にほっくりとしています。
噛むと普通の里芋より歯ごたえがあるのですが、あくまで「ほくり」という感じです。通常の里芋より芋質がしっかりしています。
さらに上圧さといもは、味も特徴的です。
里芋である以上、里芋の味がするのですが、芋質も相まってか、芋の味がかなりしっかりしています。
煮崩れしない芋なので、噛んだときに染み込んだ煮汁の味と芋の味が同時に口に広がるところが魅力です。
まとめ
上圧さといもは、福井や近隣以外では、お店での購入が難しい里芋です。流通量が少ないため、他県にはあまり出回らないのです。
しかし、インターネット通販の大手である楽天やYahoo!では取り扱いがあります。
希少で煮崩れしない、しっかりとした歯ごたえのある里芋。
そして、平安時代にはすでに源流ができていた歴史のある食材でもあります。
ぜひ一度試してみてください!
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