県には「県の鳥」が定められています。福井県にも県を象徴する鳥が定められているのですが、福井の皆さんは自県の鳥は何だかご存じでしょうか。意外と自分の出身県や住んでいる県の鳥や花を知らなかったりしませんか?
今回は福井の鳥についてご紹介します。
前回と前々回は福井県の花と木をご紹介しました。そちらもぜひチェックしてみてください。
それでは、福井の鳥について見てみましょう。
福井の鳥ってなに?
福井県の鳥は「ツグミ」です
ツグミは通年日本にいる鳥ではなく、秋の終わりにシベリアから渡ってくる渡り鳥の一種になります。群れを作って行動しますが、日本に渡ってくると群れをといて単独行動する鳥なのだとか。
ツグミの大きさはよく見かけるスズメの二倍ほどで、体の色は茶や白。冬になるとたまに見かける鳥ですよね。3月ころになるとまた群れを作って、寒い北の方へ帰って行きます。まさに冬の鳥です。
ツグミは別名「跳馬」とも呼ばれます。
雪の上をぴょんぴょん飛びながら餌をとるところから、跳馬という別名がついたそうです。古くは跳馬の名前でよく呼ばれていたのですが、鳴き声をあげないことから「口をつぐむ」=「ツグミ」という呼び名に変わっていったといわれています。
なおツグミ自体に鳴き声はあるのですが、日本ではほとんど鳴くところが見られないのだそうです。渡り鳥であるツグミは、渡っている間はほとんど鳴かないことで知られます。
ですが、飛び立つときに稀に「ちぃ」「ちちっ」と鳴くことも。冬場にツグミを見ることがあれば、ぜひ観察してみてください。運が良ければ鳴き声が聞けるかもしれません。
福井の鳥が選定された経緯
実は、もともと福井県の鳥はツグミではありませんでした。ツグミの前の福井県の鳥は「コウノトリ」。福井にコウノトリが飛来して巣を作ったことから、コウノトリが福井県の鳥になりました。
しかし、コウノトリは数を減らし、福井県から姿を消してしまいました。コウノトリを県の鳥にしていた福井は新たな県の鳥を決めることになったのです。
公募により新たに決まった福井県の鳥はツグミ。このように、コウノトリからツグミに県の鳥が変更されたという経緯があります。
ツグミが福井県の鳥第二号に指定されたのは、昭和42年12月のことです。
ツグミが福井の県の鳥に選定された理由は3つ。
福井には多くのツグミがやってくること。そして、そのツグミは厳しい冬の鳥であること。もうひとつは、ツグミの違法な乱獲が行われていたことです。
当時、渡り鳥としてやってくるツグミは乱獲されることが少なくなかったのだとか。ツグミの捕獲をやめて欲しいという祈りから、福井県の鳥をツグミにしたという経緯があります。
意外な経緯ですね。
ツグミの逸話や神話
ツグミは日本の歴史の中でも非常に古い鳥で、奈良時代の記録にはすでに登場していたといわれています。
当時は現在の「鶫(つぐみ)」ではなく、「豆久見(つぐみ)」という字を当てはめて読んでいたようです。他、「馬鳥(まてう)」という呼び名もありました。色が馬に似ていて、ぴょんぴょん跳ねるからかもしれないですね。
平安や室町、江戸あたりになると、さらにツグミの呼び名が増え、日本各地でさまざまな名前で呼ばれたといいます。地方によっては「カゴメ」という呼び名もあったそうですよ。面白いですね。
この他に、ツグミといえば1700年代にフランスの天文学者が作った「ツグミ座」という星座があります。日本はそろそろ秋に差し掛かるころ。秋の星座のひとつである天秤座と海蛇座の間にある可愛らしい星座です。
実はこの星座、ツグミではなくドードーがモデルだったのではないかとも言われており、本当にツグミなのかはわかりません。しかし、冬の前の季節である秋の星座の間にひょっこり顔をのぞかせているというあたり、何だか渡り鳥という感じがしませんか。
福井県の鳥であるツグミについてご紹介しました。多くの人が名前を知っているだろう渡り鳥ツグミが福井の鳥になります。
冬場に雪の上をぴょんぴょん跳ねている姿を見たら「福井の鳥だ」と、バードウォッチングをしてみるのも一興ですね。
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