福井県には八尾比丘尼伝説など不思議な物語がいくつも伝わっています。中でも特に「怖い」と言われている話が福井民話の「首無し馬の行列」です。福井県内はもちろんのこと、他県にも怖い話のひとつとして伝わる伝承になります。
ご当地の怖い話で暑気払いしてはいかがでしょう。何回かに渡って福井県内の怖い話をご紹介したいと思います。夏場の家族との晩酌や友達とのネット飲みでぜひネタとしてお使いください。
福井の民話「首無し馬の行列」とは?
福井県の中でも越前に伝わる伝説です。毎年4月24日になると、城下町に不気味な行列が出現するという話になります。
ちょうど越前の城下あたりにお住いの人は、GW近くになると火の玉を見たりしませんでしたか? 奇妙な光やもやを見た記憶はないでしょうか。実はそれ、首無し行列かもしれません・・・。
福井の怖い話/第1話「首無し馬の行列」
福井の越前のあたりには、昔から4月24日の夜(10時頃)になると、首の無い馬に乗った行列が現れるという伝説があり、近隣の住民は4月24日の夜間は外出を控えていたそうです。
首の無い馬に乗っている武士たちは、豊臣秀吉との戦いで散った柴田勝家の家臣の一団であるといわれています。
首無し馬の行列は夜間ずっと越前の城下を行進し、夜明けになると消えるのだとか。
外出していた人が行列に見つかったり、出くわしてしまったりすると、共に連れて行かれると噂されていました。しかも、この首の無い馬に乗った行列を見た者は、そのことを家族や友人など人に話してしまうと死ぬとも噂されておりました。見るだけでも恐ろしいことですが、連れて行かれる、見たことを話すだけでも死ぬということで、越前のあたりではこの日付になると外出は控えたのでした。
しかし、秀吉と勝家の戦いから時が経つと、次第に越前の人々は首無し馬の行列の話は忘れられて行きました。
ある年の4月24日、知己の家に遊びに行った老人はあまりに話が弾んだもので、帰ろうと外を見ると真っ暗になっておりました。知己は「夜も遅いから」と引き留めましたが、老人は岐路につきます。
家に帰る道、老人は奇妙なものを見ます。いくたの火の玉が飛び交い、ぼんやりと通り向こうにたくさんの人や馬の陰が見えるのです。老人はここで「今日は4月24日だったか」と思い出しました。
老人が慌てて隠れると、少しずつ影が鮮明になります。首の無い馬に乗った鎧武者たちでした。首無し馬の行列は老人が隠れている脇を通り抜け、どこかへ進軍します。
一団が通り過ぎた隙を見計らって老人はお急ぎで帰宅しました。そして、「慌てた様子でどうしたのか?」と尋ねる家族に首無し馬の行列を見たことを話してしまったのです。
家族や老人は「話しただけで死ぬなど迷信」と思っておりましたが、翌年の4月24日に老人は首無し馬の行列と出会ったあたりで倒れ死んでいるところが見つかったといいます。
家族や周囲の人たちは「首無し馬の行列を見たからではないか」などと噂し合いました。中には「行列に連れて行かれたのだろう」と怖がる人もいたそうです。
福井では未だに4月24日にこの行列が出ているのか検索してみましたが、目撃談などはありませんでした。生活の中では馬より車を使う時代ですから、いろいろ事情があるのかもしれません。
なお、現代の法律では馬は軽車両に該当するそうです。それと、福井とは特に関係ありませんが、4月24日は日本ダービー記念日だとか。ダービーの方は普通に首のある馬ですね。
越前の城下町あたりに伝わる怖い話を夏の怪談特集第1話としてお話ししました。今後も暑気払いとして、福井の怖い話をお届けできればと思います。
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