福井の民話「飯降山の3人の尼」を知っていますか?夏の怖い話特集2

全国的に暑い日が続いています。暑い日が続くからこそ怪談噺のような、背中がひやっとするものが欲しくなりますよね。

今回は福井にまつわる怪談噺の第2弾として飯降山に伝わる怪談をご紹介します。


福井県の「飯降山」とは?

福井県の飯降山(いふりやま)は福井市と大野市の県境にある山です。空から飯が降ってきたという伝説のある山でもあります。

飯降山は奈良時代の僧である泰澄大師(たいちょう)が空から飯が降ってくるところを見た山として知られます。飯が空から降ってきたということで、飯降山の名前がつきました。また、飯降山は地元で五穀豊穣と治療の神として大切にされています。

この飯降山には他にも奇妙な伝説が残っています。

福井の怪談「飯降山の3人の尼」

福井の飯降山では昔3人の尼が修行に明け暮れていました。

今でこそ飯降山は気軽に散策できる山ですが、当時の山での修業はとても厳しいものです。まさに「荒行」という言葉がぴったりな修行をしていた3人の尼は、ある日、飯降山の山道に乾飯(一説にはおにぎり)が置いてあることに気づきます。乾飯はきっちり3人分あるのでした。

山での荒行の最中に飯など見ることはありません。3人の尼は誰の施しか知らない飯を有り難く食べました。すると、次の日も山道に乾飯が置かれているではありませんか。それも、きっちり3人分です。もちろん3人の尼は大喜びで乾飯を食べました。そして翌日も、やはり乾飯があり、尼たちは有り難く食べることにしたのです。

どうやらこの乾飯は、伝説にあるように空から降ってくるようでした。尼たちは最初のころは空から降ってくる乾飯を3人仲良く分けていましたが、やがてふとこんなことを考えます「1人いなくなれば自分の取り分が増えるのではないか」と。

2人の尼は結託し、1人の尼を山から突き落としました。1人減ったので、これで3人分の乾飯を2人で食べられます。しかし、翌日置いてあったのは2人分の乾飯でした。3人分の乾飯を2人で分けられるという尼たちの目論見は外れたのです。

尼たちは空から降ってきた2人分の乾飯を毎日分けました。しかし片方の尼は1.5人分では満足せず「もう1人を殺したらすべて自分の物にできるのではないか」と考えました。

尼はもう1人の尼を山から突き落として殺害すると、翌日、乾飯が降ってくるのを待ちます。けれど、乾飯は2度と尼のところに降ってくることはありませんでした。

残った1人の尼は山を下りたとも、行方知れずになったとも言われます。

この話にはいろいろな説があり、中には乾飯は尼たちの幻覚だったのではないかという説もあります。食べ物を制限された厳しい修行の日々が見せた幻覚で、尼が1人ずつ減っていたのは・・・後は御想像にお任せします。

心霊的な怖い話ではなく、人間の業が怖い話かもしれません。

この飯降山の3人の尼の話は『まんが日本昔ばなし』ども取り上げられました。トラウマ回のひとつとして有名な話です。

飯降山は当時こそ厳しい修行の山として知られていますが、現在は一般の人でも登れる山になっています。標高は880mほどで、登山道も分かりやすいものです。

飯降山では年1回6月に夜間登山が行われています。松明を掲げて夜の山を歩く行事です。普段は夜の山を歩く機会などありませんから、幻想的かもしれませんね。日中の登山では中腹から大野市が見えますよ。また、山道ではツツジなどの自然の花々を眺めることもできます。

飯降山の3人の尼の話は人間の業が見えるような怖い話ですが、もともと飯降山は信仰の山でもあります。近隣から眺めるのも一興、怖い話はちょっと忘れて登ってみるのも一興ですね。

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