【後編】古事記・日本書紀に登場する福井の逸話

現・福井は古事記や日本書紀にも逸話が登場する古い地域です。古事記や日本書紀では「福井」という地名は使われていなかったようです。701年に成立した大宝律令の頃には福井は「越(こし)」という国・地域の一部で、この地域には若狭や角鹿、三国、高志などの支配者がいたのだとか。

律令制のもとでは越(越国)は越前、越後、越中などに分割されました。このときの越前には現在の能登や加賀も含まれています。やがて歴史を重ねて現在の福井県というかたちになったわけです。

福井にまつわる古事記や日本書紀の逸話を前編に引き続きご紹介します。

古事記・日本書紀に登場する「継体天皇」

継体天皇は現・福井県の出身だといわれています。父親は近江国の権力者で、母親は越のお姫様でした。父親が早くに亡くなった継体天皇は、母親に連れられて母の故郷である現在の福井県で育てられたそうです。

福井県ですくすくと育てられた継体天皇は、福井の大治水事業をなしたと伝わります。他、地元の事業を推進するなど、福井のために力を尽くした天皇としても伝わっています。

福井県内の足羽神社は継体天皇ゆかりの神社として現在も大切にされています。

≫https://www.asuwajinja.jp/

継体天皇は、日本書紀では82歳で崩御したと記載されていますが、古事記では43歳での崩御となっています。

古事記・日本書紀に登場する「氣比神宮」

14代・仲哀天皇と神功皇后が結婚後に角鹿(敦賀)に滞在したときに建てたのが「けひのみや」と呼ばれるお宮でした。このときに建てたのが、越前国一の宮である氣比神宮であったといわれています。

また、古事記には15代・応神天皇がこの地を訪れ、氣比大神と出会ったときのことが記されています。

≫https://kehijingu.jp/

氣比神宮は歴史ある、そして景観の美しい神社として福井では現在も愛されています。

古事記・日本書紀に登場する「越前がに」

記紀には何と福井名物の越前ガニについての記載もあります。越前ガニは現在も福井名物の高級食材として食べられており、季節になると他県からも購入の申し込みがありますよね。福井はカニがたくさん獲れるからこそ特産品になっているという事情もありますが、記紀に記されるほど歴史があるからこそ特産品になっているという事情もあります。

先ほど、氣比神宮のところで登場した応神天皇。天皇が角鹿(敦賀)のあたりで美しい姫を見つけ、感嘆のあまり歌を詠んだとされています。

この蟹や 何処の蟹 百伝ふ 角鹿の蟹 横去らふ ・・・

美しい姫に感動し、出会えた喜びをカニで表現した歌です。この歌に登場するカニこそが越前ガニのルーツだといわれています。

現代人の感覚からすると「なぜそこでカニ?」とも思いますが、越前ガニが記紀に登場するほど歴史ある特産品であることは確かでしょう。

古事記・日本書紀に登場する「若狭の鯛」

若狭の鯛(ぐじ)も福井の特産品のひとつですよね。記紀には若狭の鯛のエピソードも掲載されています。

氣比神宮のところでも登場した神功皇后が若狭のあたりにやってきたとき、船上で食事をとったそうです。そのときに神功皇后が海にお酒を注ぎました。すると、海を泳いでいた鯛たちが酔っぱらって色美しく染まり、海からぴょんぴょん飛び上がったのだそうです。神功皇后の注いだお酒で酔った鯛たちをつかまえて大漁になったのだとか。

若狭の鯛といえば美しい色と味わい深さが特徴です。今日では鯛そのものも販売されていますが、小鯛のささ漬けなども有名です。福井の定番のお土産品ですよね。このお土産品に使われている鯛が「酔っぱらった鯛の子孫?」と想像すると、なかなか面白いのではないでしょうか。

小鯛のささ漬けは通販でも購入できます。

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記紀のエピソードも添えて、他県の方の贈り物にしてはいかがでしょう。

また、記紀を読みながらお酒を飲み、その際の肴にしても素敵ですね。

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